狂燥
きょうそう
名詞
標準
文例 · 用例
五人、十人の偉さうな亂暴と狂燥は何んにもならないんだ。
— 小林多喜二 『一九二八年三月十五日』 青空文庫
窓々の拡声ラッパは花やかな夜の開幕を告げる狂燥曲を放送しはじめてゐた。
— 牧野信一 『変装綺譚』 青空文庫
これは楊博士が気違いになったのではなくして、いまこそ彼は、軍船撃滅法発見のキッカケをつくる有力なるキャタライザーにめぐりあったことを喜ぶのあまり、つまり驚喜乱舞という狂燥発作に陥ったのであった。
— 海野十三 『軍用鮫』 青空文庫
(まあいいや、俺は本当に、葉ちゃんの事ばかり考えているんだから) 途端に、一休みしていたジンタが、あの耳馴れた狂燥を、響かせて来た。
— 蘭郁二郎 『夢鬼』 青空文庫
尿毒症の昏睡状態から、暫く軽い狂燥状態が続いて、それから夜中の三時頃、心臓麻痺でやられてしまった。
— 豊島与志雄 『丘の上』 青空文庫
若し、表現主義者が、悉く反抗と、狂燥と、渋面と、それ等の要素のみを人生のうちから選び出す事に興味をもつてゐるのでなかつたら、僕は表現主義者を友人と呼ぶであらう。
— 岸田國士 『築地小劇場の旗挙』 青空文庫
たゞ、狂燥と愁訴の雰囲気につゝまれた愛慾の世界、道化た仮面の下を流れるほろ苦がい涙の味が、独特なリリスムとなつて一つの傑れた近代悲劇を形造る。
— 岸田國士 『仏国現代の劇作家』 青空文庫
智恵子は到頭自宅に置けないほどの狂燥状態となり、一方父は胃潰瘍となり、その年父は死去し、智恵子は転地先の九十九里浜で完全な狂人になってしまった。
— 高村光太郎 『自作肖像漫談』 青空文庫