皺面
しゅうめん
名詞
標準
文例 · 用例
」 僧は燭を取って一足出たが、「お爺さん、」 と呼んだのが、驚破事ありげに聞えたので、手んぼうならぬ手を引込め、不具の方と同一処で、掌をあけながら、据腰で顔を見上げる、と皺面ばかりが燭の影に真赤になった。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
そこを通って、両方の塀の間を、鈍い稲妻形に畝って、狭い四角から坂の上へ、にょい、と皺面を出した…… 坂下の下界の住人は驚いたろう。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
思わず、そこへ、日向にのぼせた赤い顔の皺面で、鼻筋の通ったのを、まともに、伸かかって、ハタと着ける、と、颯と映るは真紅の肱附。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
」 木戸から、寺男の皺面が、墓地下で口をあけて、もう喚き、冷めし草履の馴れたもので、これは磽※たる径は踏まない。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
その内に思案して、明して相談をして可いと思ったら、謂って見さっせえ、この皺面あ突出して成ることなら素ッ首は要らねえよ。
— 泉鏡花 『葛飾砂子』 青空文庫
」といった藤兵衛は、匍匐になって、胸の下に京伝の読本が一冊、悠々と真鍮環の目金を取って、読み懸けた本の上に置きながら、頬杖を突いたままで、皺面をぬっ!
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
彼はゆがんだ皺面を灰いろにして、死んだ者のようにうずくまっていた。
— 三河万歳 『半七捕物帳』 青空文庫
あえかにも美しいひとたちが、五十の皺面に仇な化粧をし、几帳の陰でひっそりと朽ちて行くのかと思うと、いかにもあわれである。
— 久生十蘭 『奥の海』 青空文庫