飽
飽
名詞
標準
文例 · 用例
従て其作歌にも飽足らぬ点が多い。
— 伊藤左千夫 『『悲しき玩具』を読む』 青空文庫
三児は遊びに飽きると時々自分の書見の室に襲うてくる。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
午後は奈々子が一昼寝してからであった、雪子もお児もぶらんこに飽き、寝覚めた奈々子を連れて、表のほうにいるようすであったが、格子戸をからりあけてかけ上がりざまに三児はわれ勝ちと父に何か告げんとするのである。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
くりくりと毛を刈ったつむり、つやつやと肥ったその手や足や、なでてさすって、はてはねぶりまわしても飽きたらぬ悲しい奈々子の姿は、それきり父の目を離れてしまった。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
妻もただ泣いたばかりで飽き足らなくなったか、部屋に帰って亡き人の姉々らと過ぎし記憶をたどって、悔しき当時の顛末を語り合ってる。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
そういう間柄でありつつも、飽くまで臆病に飽くまで気の小さな両人は、嘗て一度も有意味に手などを採ったことはなかった。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
いざ雪ふらば降れ、風ふかば吹け、我が方寸の海に波さわぎて、沖の釣舟おもひも乱れんか、凪ぎたる空に鴎なく春日のどかになりなん胸か、桜町が殿の容貌も今は飽くまで胸にうかべん。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
形状と色彩との関係は、色調を異にした二色または三色の対比作用によって形状上の二元性を色彩上にも言表わすか、または一色の濃淡の差あるいは一定の飽和度における一色が形状上の二元的対立に特殊な情調を与える役を演ずるかである。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫