擱
擱
名詞
標準
文例 · 用例
彼に就いて語りたい、実に沢山なことをさし措いて、私はもう筆を擱くのだが、大変贅沢をいつても好いなら、富永にはもつと、相像を促す良心、実生活への愛があつてもよかつたと思ふ。
— 中原中也 『夭折した富永』 青空文庫
紙数に余裕があるので、何かのために、左の言葉を手帖より抜書きして擱筆することとする。
— 中原中也 『詩と其の伝統』 青空文庫
(ペンを擱いて向き直る)女 恰度よかつたわね。
— 中原中也 『夢』 青空文庫
私は私の持つてゐる思想の一通りを茲に略述して筆を擱くことにする。
— 葉山嘉樹 『工場の窓より』 青空文庫
しかしながら著者は十九章を以て擱筆しなかった。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
思い出せば私が三つのとき、というような書きだしから、だらだらと思い出話を書き綴っていって、二歳一歳、しまいにはおのれの誕生のときの思い出を叙述し、それからおもむろに筆を擱いたら、それでよいのである。
— 太宰治 『玩具』 青空文庫
私はすかさず、筆を擱く。
— 太宰治 『狂言の神』 青空文庫
」 長女は、自信たっぷりの顔つきで、とどこおる事なく書き流し、ここまで書いて静かに筆を擱いた。
— 太宰治 『ろまん燈籠』 青空文庫