トタン板
トタンいた
名詞
標準
galvanized sheet iron
文例 · 用例
明治大学前に黒焦の死体がころがっていて一枚の焼けたトタン板が被せてあった。
— 寺田寅彦 『震災日記より』 青空文庫
屋根をはがれたトタン板と、屋根板が、がたん、ばり/\と、競を追つたり、入りみだれたり、ぐる/\と、踊り燥ぐと、石瓦こそ飛ばないが、狼藉とした罐詰のあき殼が、カラカランと、水鷄が鐵棒をひくやうに、雨戸もたゝけば、溝端を突駛る。
— 泉鏡太郎 『十六夜』 青空文庫
寢苦い思ひの息つぎに朝戸を出ると、あの通り暴れまはつたトタン板も屋根板も、大地に、ひしとなつてへたばつて、魍魎を跳らした、ブリキ罐、瀬戸のかけらも影を散らした。
— 泉鏡太郎 『十六夜』 青空文庫
お三はそれ等の煉瓦で巧に住家を積み上げ、屋根は古トタン板で覆って住みついています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
そのごたごたした中を、方々の救護班や、たき出しをのせた貨物自動車がかけちがうし、焼けあとのトタン板をがらがらひきずっていく音がするなぞ、その混雑と言ったらありません。
— 鈴木三重吉 『大震火災記』 青空文庫
屋根瓦の上に堅い砂がちらばっていて、その上をトタン板を引きずる音がする。
— 平林初之輔 『伊豆の国にて』 青空文庫
錆びたトタン板一枚の、穴だらけの庇の下で両肩をすくめ、本郷車庫行きのバスを待つ慶一のまえで、タクシーが急停止し、うしろのドアが開いた。
— 第2章 メリーゴーラウンド、1967年 『45回転の夏』 青空文庫
裏通りも同様にアケスケな処が殖えて来て、飾も何もないボール箱式が多く、かなりの大きな家をトタン板で貼固めた、ペスト予防よろしくといったようなのも珍らしくない。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫