従而
じゅう而
名詞
標準
文例 · 用例
霞亭は「四書集註、初伝播我邦、垂水広信崇信読之、藤房従而受業、或云、玄慧法師始講之、藤房玄慧同時与交、則其授受固当相通」と云つてゐる。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
従而このアトリヱはアトリヱ本来の面目を果すことが極めて稀れで、専ら主人の不在によつて存在理由も生じるといふ奇妙な役割を果してゐたが、然し一週に三回の午前中、十名ばかりの若い娘に絵の手ほどきをするといふ私塾の用に使はれてゐた。
— 坂口安吾 『狼園』 青空文庫
従而、いはばアトリヱの主ともいふべき私が、伊吹山秋子と特殊な関係を生じることになつたのも、決して偶然ではなかつたのだ。
— 坂口安吾 『狼園』 青空文庫
或ひは又、無能者を良人に持つ美貌の一女性が医されぬ性慾に身悶えして道ならぬ恋に走るといふ、必ずしも蕗子に限つたことではなく、従而紅庵自身に直接何等の関係はなくとも、単にさういふ事柄のもつ何やら息づまるやうなあくどい情慾の雰囲気だけが已にして彼に好ましかつたのかも知れない。
— 坂口安吾 『雨宮紅庵』 青空文庫
牧野さんの神経衰弱は奥さんのヒステリイをともなふのが例で、普段はストア派の牧野さんが神経衰弱になると小説を創るにも苦吟するやうになり、従而彼の人生の設計を深刻化し立体化する必要にせまられる。
— 坂口安吾 『牧野さんの死』 青空文庫
従而彼の小説の人物は固定された性格を全く与へられてはゐないわけだが、事件から事件へ転々と動かされて行くうちに、いはゆる性格なぞといふケチな概念とかけはなれ、実に歴々と特殊な相貌を明らかにする。
— 坂口安吾 『スタンダアルの文体』 青空文庫
従而彼の文章はそれにふさはしく特殊である。
— 坂口安吾 『スタンダアルの文体』 青空文庫
従而泡をくつて喋ることには案外馴れてゐるのである。
— 坂口安吾 『お喋り競争』 青空文庫