うつ
うつ
動詞
標準
文例 · 用例
糟谷が眼前咫尺の光景にうつつをぬかしているまに、背後の時代はようしゃなく推移しておった。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
それであけても暮れても欝うつたのしまない。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
少さく愛らしき笑顔は引込んでしまった、まア安心じゃと思うと表手の方で羽根うつ音が頻にきこえる。
— 伊藤左千夫 『浅草詣』 青空文庫
いろいろの草花うつくしくおのがしし色に誇るが中に菖蒲の花なん殊に多かりける。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
僅にかえり見れば小き円きうつくしき虹の我身をめぐりて目の下に低く輝けるあり。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
多くの姉妹らはいまさらのごとく声を立てて泣く、母は顔を死児に押し当ててうつぶしてしまった。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
妻は相変わらず亡き人の足のあたりへ顔を添えてうつぶしている。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
「僕は学校へ往ってしまえばそれでよいけど、民さんは跡でどうなるだろうか」 不図そう思って、そっと民子の方を見ると、お増が枝豆をあさってる後に、民子はうつむいて膝の上に襷をこねくりつつ沈黙している。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫