棚引く
たなびく
動詞-五段-カ行動詞-自動詞
標準
to trail (of smoke, clouds, etc.)
文例 · 用例
灰いろと葡萄いろの二流れの雲は峯々を絡み、うずめ、解けて棚引く。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
あわあわしい白ら雲が空ら一面に棚引くかと思うと、フトまたあちこち瞬く間雲切れがして、むりに押し分けたような雲間から澄みて怜悧し気にみえる人の眼のごとくに朗らかに晴れた蒼空がのぞかれた。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
山々の段々畠に棚引く菜種、蓮花草の黄に紅に、絶間なく揚る雲雀の声に、行衛も知らぬ身の上を思ひ続けつゝ、幾度となく欠伸し、痴呆の如くよろめき行く様ひとへに吾が生胆を取られたる如し。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
気と同じ、気がモヤモヤと入り組み籠って棚引くのである。
— 幸田露伴 『悦楽(現代訳)』 青空文庫
棚引く雲の匂やかに、はや暁の色染めて、 東の空にほのぼのと、夢より綺麗な日の光り。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
あわあわしい白ら雲が空ら一面に棚引くかと思うと、フトまたあちこち瞬く間雲切れがして、むりに押し分けたような雲間から澄みて怜悧し気に見える人の眼のごとくに朗かに晴れた蒼空がのぞかれた。
— イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 『あいびき』 青空文庫
晴れた日ならば上野の森には今頃は紫いろの靄が棚引くのであつた。
— 田村俊子 『木乃伊の口紅』 青空文庫
体のうちの臓器はもう運転を停めようとしているのに、画家は窓を開けさせて、氷の山の巓に棚引く雲を眺めている。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫