鬘下
かつらした
名詞
標準
文例 · 用例
恥ずかしそうに身をくねらせながら、鬘下地の艶な姿を見せたのは、上方下りの立女形上村吉三郎でした。
— 千代田城へ乗り込んだ退屈男 『旗本退屈男 第十一話』 青空文庫
そうしてその長い鬢の生え際を引き剥がすとそのまま、丸|卓子の上にうつむいて両手をかけて仮髪を脱いだが、その下の護謨製の肉色をした鬘下も手早く一緒に引き剥いで、机の上に置いた。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫
その下の真物の髪毛は青い程黒く波打ったまま撫で付けにしてあったが、同時に鬘下で釣り上げられていた眉、眼、頬はふっくりと丸くなって、無邪気な、可愛らしい横顔に変ってしまった。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫
あの樽屋の内儀さんが自慢の娘のまだ初々しい鬘下地なぞに結って踊の師匠の許へ通っていた頃の髪が何時の間にか島田に結い変えられたその姉さんらしい額つきを捨吉は想像で見ることが出来た。
— 島崎藤村 『桜の実の熟する時』 青空文庫
あの髪を鬘下地にして踊の稽古仲間と手を引合いながら河岸を歩いていた樽屋の娘が、何時の間にかおばさんの御供もなしに独りで田辺の家へ訪ねて来て、結構母親の代理を勤めて行くほどの人に成った。
— 島崎藤村 『桜の実の熟する時』 青空文庫
「さあ、こちらへ――」 と、いう、遊孝の、案内のこえ――「みなさま、おまち兼ねで――」 閾外の畳廊下に、ほっそりとしなやかな手を突いて、艶やかな鬘下地の白く匂う頸すじを見せた雪之丞、真赤な下着の襟がのぞくのが、限りもなくなまめかしかった。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
あの樽屋のおかみさんが自慢の娘のまだ初々しい鬘下地なぞに結って踊の師匠の許へ通っていた頃の髪が何時の間にか島田に結い変えられたその姉さんらしい額つきを捨吉は想像で見ることが出来た。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫
」「勝山でなし島田でなし、さあ何でござろうな」「その髷こそ鬘下地でござる」「鬘下地?
— 国枝史郎 『名人地獄』 青空文庫