無感
むかん
名詞
標準
文例 · 用例
僕はかなしい虚無感から貧しい財布の底をかぞへて見た。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
自然主義の文学論はできるだけ平凡無味の人生を、できるだけ無感激で書くことを主張した。
— 萩原朔太郎 『病床生活からの一発見』 青空文庫
叙事詩の精神は「主観に対する反語」であり、否定によっての高翔なのに、俳句はむしろ「没主観への徹入」を精神とし、東洋的虚無感――それが西洋のニヒリズムと、全然反対のものであることに注意せよ。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
真に現実主義と言うべきものは、かかる一切の主観を有せず、憤りもなく憎みもなく、無私無感情の態度を以て――即ち真に科学の如く――客観について客観を見、観照のために観照をするものでなければならない。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
」と呶鳴り返してやつたが、後で考へてみれば、死んだ以上はいくら撲られても無感覺だし、殺されたつても同じことだ。
— 萩原朔太郎 『悲しき決鬪』 青空文庫
或ひは、無感覚に見えるかも知れない。
— 中原中也 『我が生活』 青空文庫
一一 藤原は、そのいつもの、無口な、無感情な、石のような性格から、一足飛びに、情熱的な、鉄火のような、雄弁家に変わって、その身の上を波田に向かって語り初めた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
そして、この船室全体の構造と、彼らが一様に抱かされる共通な基本的な感じとは、倦怠に虫ばまれ切った囚人が、やはり、ボンヤリ高い窓をみつめて、そのなれ切った倦怠と無感覚とを、鈍く感じてるのとよく似ていた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫