炳吉
炳吉
名詞
標準
文例 · 用例
「そったらことお前さんに出来るだか」「世話するちゅう男がいてな」 その実、先達は帰り道で同じ村の炳吉に偶然遇ったのだった。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
炳吉は或は先達の変り果てた姿に強い同情を覚えたのであろうか、無理をしてでも倉庫の仕事の仲間に入れてやろうと約束したのだった。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
「明後日の朝四時に来るがええ」炳吉は大きな手で彼のか弱い肩を二三度叩いて慰めると、からからと笑いつつどこかへ立ち去った。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
「三円もくれるちゅうてな、炳吉さそう云うていたで」 彼は面を輝かせて婦に囁いた。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
「んにゃ、あの炳吉に遇っただか」 先達は闇をすかしてじっと婦を見守った。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
それでも炳吉が逸早く駆けつけて制止したのでこの格闘は難なく収まり、気性の強い先達には、その実それという負傷もなかった。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
だが炳吉に体を支えられて立ち上った時、先達は急に悲しみがこみ上がってならなかった。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
先達を背負って来た炳吉は胡坐をかいた腿の上に両手を突き立て、婦の泣き悲しむ様を茫然と見守っていた。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫