種蒔き
たねまき
名詞
標準
文例 · 用例
友人辻本工学士に拠ると信濃越中の国境に聳えている祖父ヶ岳は、「種蒔き爺さん」が笊を持った具合に現われるので、山腹雪解の頃、偃松が先ずその形に蔓って、出るのではないかという話である、偃松の仲間入は最もおもしろい。
— 小島烏水 『雪の白峰』 青空文庫
幽かな音、幽かな色、幽かなささやき……四十三年七月 種蒔きパツチパツチと鳴く虫の昼のさびしさ、つつましさ、……葱の畑のそこここに銀の懐中時計を閉める音。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
頬白鳥 ものぐさ百姓がある朝、めづらしく早起きして、畑で種蒔きをしてゐました。
— 山村暮鳥 『ちるちる・みちる』 青空文庫
(昭和12・7「報知新聞」)我が家の園芸 上目黒へ移ってから三年目の夏が来るので、彼岸過ぎから花壇の種蒔きをはじめた。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
権兵衛が種蒔きなら俺でも踊るが、鯨のタネ蒔きバッカリは真似が出来ん。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
そして最後の麦粉までも、また次の種蒔きの用意にとって置いた種子までも持って行かれる。
— 大杉栄 『日本脱出記』 青空文庫
君に教しふ忽忘草の種蒔きに来よと云ひなば驚きてこん この君は親しい女友達である。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
越後の角兵衛逆蜻蛉、権兵衛が種蒔きゃ烏がほじくる、オヤほんとにどうしたね、お前待ち待ち蚊帳の外、十四の時から通わせていまさら厭とは胴欲な、……などと大変な騒ぎになった。
— 国枝史郎 『善悪両面鼠小僧』 青空文庫