抉れ
えぐれ
名詞
標準
文例 · 用例
書生に迎えられて、つる/\滑る嵌木細工の床の上を気をつけて股を拡げて足を運びながら天井を眺めますと夏蜜柑の皮の裏のように丸くぽっこり抉れている真ん中に大きな水晶の簪のようなシャンデリアが沢山のぴら/\を垂らして釣り下っています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
……抉れ、抉れ、抉れ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
体位から推してみたからって、どうして、背の高い三伝が、低いあの男の腹を抉れるものじゃない。
— 小栗虫太郎 『地虫』 青空文庫
土蔵の壁は堅いのでさほど深くは抉れていないが、それでも明瞭に読み取ることが出来るほどで、貝折釘の二寸ほど下のあたりから垂直に一尺ほど掻き取られてある。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
ただ、創口の一個所に鈍器で撃ったような抉れがある。
— 萩寺の女 『平賀源内捕物帳』 青空文庫
つまり、一挙両得というわけだ」「すると、あの抉れたような痕は」「それは、短い外趾の端が触れた痕だ」「何のためにそんな手の込んだことを」 源内先生、閉口して、「いや、諄い男だ。
— 萩寺の女 『平賀源内捕物帳』 青空文庫
ところが、この傷は抉れてゐる」「へエー」「そんなことがあるだらうか、――多勢の者の見てゐる前でやられたのだから、間違ひもあるまいが」「――」「おや」 平次は後ろを振り向きました。
— 闇に飛ぶ箭 『錢形平次捕物控』 青空文庫
成るべく瀑壺の縁に近い所を登って突端に出ると、向う側は俄に抉れて急斜面の中央に細い段のような所がある。
— 木暮理太郎 『釜沢行』 青空文庫