湧き零れる
わきこぼれる
動詞
標準
文例 · 用例
噴き井の上には白椿が、まだ疎に咲き残って、絶えず湧きこぼれる水の水沫は、その花と葉とを洩れる日の光に、かすかな虹を描いていた。
— 芥川龍之介 『素戔嗚尊』 青空文庫
かういふ西洋の温泉場では、温泉といつても、その中に體を浸らせたりするのではなく、唯、温泉の湧きこぼれるのを杯などで飮むに過ぎないのだらう。
— 堀辰雄 『「浴泉記」など』 青空文庫
わけても『第四協奏曲』の特質ある掬すべき情味が、泉のごとく湧きこぼれるのを、誰でも気が付かずにはいなかった筈である。
— 野村長一 『名曲決定盤』 青空文庫
板囲いの戸が細目に開いているので、覗いてみると、いッぱいな湯けむりで中はもうとしているが、チョロチョロと温泉が湧きこぼれる音のほか別に人気もないらしいので、スッと土間口へ足を入れ、腰の助広を取って棚へおこうとすると、からりと、鞘にふれて鳴ったものがある。
— 木曾の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫