漠々
ばくばく
形容詞-たる副詞-と
標準
vast
文例 · 用例
きょうもまた漠々たる雲の幕は空から地平に厚く垂れ下り、行く手の陸の見晴しを妨げた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
「さあ、ここからみんな抜き手よ」 やがて一行は扇形に開く河口から漠々とした水と空間の中へ泳ぎ入った。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
新聞は今朝出る前に讀み盡して了つたし、本を讀む元氣もなし、眠くもなし、喋舌る對手もなし、あくびも出ないし、さて斯うなると空々然、漠々然何時か義母の氣が自分に乘り移つて血の流動が次第々々にのろくなつて行くやうな氣がした。
— 国木田独歩 『湯ヶ原ゆき』 青空文庫
「それじゃ、失敬」 空々漠々たるものでした。
— 太宰治 『トカトントン』 青空文庫
そうしてこの頃では芸術とか非芸術とか言ったような相対的な批判区域までも一気に駈け抜けて、一望漠々たる砂漠を息のあらん限り走っては倒れ、倒れてはよろめき走りしているように見える。
— 夢野久作 『実さんの精神分析』 青空文庫
刻一刻地上の者は次第に小くなって遂には、一番高い山の頂さえ見えなくなって終った後は、四面ただ漠々として、いずれを見てもただ雲ばかり、両方の飛行船すら如何なる距離を以て進んでいるやら、形も姿も見えない。
— 押川春浪 『月世界競争探検』 青空文庫
所が米山の説を聞いて見ると、何だか空々漠々とはしているが、大きい事は大きいに違ない。
— 夏目漱石 『処女作追懐談』 青空文庫
それから佐野の舟橋を過ぎ信濃へ入ったところ、火を有つ浅間の山の煙は濛々漠々として天を焦して居る。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
標準
vague