蘰
蘰
名詞
標準
文例 · 用例
きのうばかりは、あなたもふうむ、ふうむとおうなりになったから、気の毒な蘰のさ百合が凋んだのもうべなりでしょう。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
しかしその光の輪はせまく、集う人々の影を大きく不確かに動かし映るなかで、蘰のさ百合の匂やかな大きい白さが、男のひとの額の上に目立つ暗暗の美しさ。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
蘰は女のひとがおくるものだったと思うけれども。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
まきもくの穴師の山びとも、空想の仙人や、山賤ではなく、正真正銘山|蘰して祭りの場に臨んだ謂はゞ今の世の山男の先祖に当る人々を斥したのだ、と柳田国男先生の言はれたのは、動かない。
— 異郷意識の起伏 『妣が国へ・常世へ』 青空文庫
山蘰として、祓へのしるしになる寄生木・栢・ひかげ・裏白の葉などがあり、採り物として、けづり花(鶯や粟穂・稗穂・けづりかけとなる)・杖などがあつた。
— 祭りの発生 その一 『ほうとする話』 青空文庫
唯、市日と、宮廷・豪家の祓へに臨む時だけは、山蘰を捲き、恐らく、からだ中も、山の草木で掩うてゐた事があるのだらう。
— 祭りの発生 その一 『ほうとする話』 青空文庫
加茂祭りの両蘰は、葵と桂とであつた。
— 祭りの発生 その一 『ほうとする話』 青空文庫
そして、其祓へがすんで、神のかげを受けるものゝしるしとして、山づとの両蘰をくばつて歩いたのであらう。
— 祭りの発生 その一 『ほうとする話』 青空文庫