洩聞
洩聞
名詞
標準
文例 · 用例
」 と、所好な貸本の講談を読みながら、梁山泊の扈三娘、お孝が清葉を詈る、と洩聞いて、「その気だから、あの妓は、(そんけん)さ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
旧を洗ってみた日には、余り大きな顔をして表を歩けた義理でもないじゃないか」 養蚕室にあてた例の薄暗い八畳で、給桑に働いていたお島は、甲高なその声を洩聞くと、胸がどきりとするようであった。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
植源のおゆうが、鶴さんの迹を追って、家を出たりなどして、あの古い植木屋の家にも、紛紜の絶えなかった一頃の事情は、お島もこの頃姉の口などから洩聞いたが、その鶴さんにも、いつか何処かで逢う機会があるような気がしていた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
貫一は心陰に女の成効を祝し、かつ雅之たる者のこれが為に如何に幸ならんかを想ひて、あたかも妙なる楽の音の計らず洩聞えけんやうに、憂かる己をも忘れんとしつ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
その談話を苦しい間にも病人が洩聞をした。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
此咄を洩聞いて雀躍したは御園草四郎君だ。
— 内田魯庵 『犬物語』 青空文庫
浮舟を恋いしている男子どもが、彼女の覚悟を洩聞いたなら、いかに心を傷ましめるであろうか。
— 正宗白鳥 『軽井沢にて』 青空文庫