応宿
おうやど
名詞
標準
文例 · 用例
歩きだしてから女に向つて、俳優とかダンサアはとにかくとして生活費の方は引受けるから一応宿を定めてみてはと話してみると、女はまるつきり感情を表はさない顔付で、別にうんとは言はなかつたが、否定の素振りをみせないことによつて承諾の気持を表はした。
— 坂口安吾 『雨宮紅庵』 青空文庫
一応宿へ帰つて仕事衣を着替へて、それから出頭した。
— 宮地嘉六 『煤煙の臭ひ』 青空文庫
軍次の手で一応宿へ下げて、知合の商人を仮親にして、奉公人という名義で南条家へつれ込んだのは、それから一と月ばかりの後、奉公人が客分になり、妹分になり、間もなく妻とも妾とも付かぬものになって、しまったのを、家族の者も、近所の衆も、当然のことのように見て居りました。
— 第八夜 蛇使いの娘 『新奇談クラブ』 青空文庫
自首して出た林彦三郎は、一応宿元へ引取らせ、家主に預けおくがよかろう」 笹野新三郎も、平次と同じように、林彦三郎を疑う心持はなかったのです。
— 懐ろ鏡 『銭形平次捕物控』 青空文庫
――それがしも一応宿へ退り、衣服など改めて出直すことにいたせば、夜食を召し上がらずにお待ちねがいたい」 秀吉は、彼を置き残して、帰ってしまった。
— 第五分冊 『新書太閤記』 青空文庫
徳川さんがトロッコの支度をしてくれるといふので、私達は一應宿へ戻り、山へ登る支度をする。
— 林芙美子 『屋久島紀行』 青空文庫
自首して出た林彦三郎は、一應宿元へ引取らせ、家主に預け置くがよからう」 笹野新三郎も、平次と同じやうに、林彦三郎を疑ふ心持はなかつたのです。
— 懷ろ鏡 『錢形平次捕物控』 青空文庫