酔い泣き
えいなき
名詞
標準
文例 · 用例
青春を失った者は酔い泣きといっしょに過去の追憶が多くなって取り乱すことになるだろうから」 と源氏の言うのを姫君も身に沁んで聞いた。
— 篝火 『源氏物語』 青空文庫
「こうしてごいっしょになることがありますと、当然なことですが昔が思い出されて、恋しいことが胸をいっぱいにして、帰って行く気になれないのですよ」 と言って、あまり泣かない人である源氏も、酔い泣きまじりにしめっぽいふうを見せた。
— 行幸 『源氏物語』 青空文庫
兵部卿の宮も酔い泣きがとめられない御様子であった。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫
おもしろさも頂天に達した気がされて、酔い泣きをされるのもこのかたがたであった。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫
六条院が、「年のゆくにしたがって酔い泣きをすることがますます烈しくなってゆく。
— 若菜(下) 『源氏物語』 青空文庫
それではわれ/\も酒がさめます」「いや忝い/\、………愚老はたゞもう忝うて/\、………こんな嬉しいことは八十年来始めてゞ、………」国経が酔い泣きしそうな口調で云うのを、「あはゝゝゝゝ」と、時平が持ち前の濶達な笑いで打ち消した。
— 谷崎潤一郎 『少将滋幹の母』 青空文庫
浅みどりかひある春に逢ひぬれば 霞ならねど立ちのぼりけり 白女が、すぐ、こう詠んだので、宇多上皇は、彼女が、以前の家がらや身を恥じている心根を察して、「よしないことを、思い出させた」 と、酔い泣きをさえ、催された。
— 吉川英治 『平の将門』 青空文庫
つまりおもしろく笑いののしり、または酔い泣きすべき機会が、あべこべに酒盛りの日を待っていて現われるだけである。
— 柳田国男 『雪国の春』 青空文庫