陥込
おちいっこみ
名詞
標準
文例 · 用例
」 そこまで、聴いたとき、美奈子は自分の立つてゐる廊下の床が、ズーツと陥込むやうな感じがしたかと思ふと、支配人が駭いて彼女の右の肩口を捕へてゐた。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
」 そこまで、聴いたとき、美奈子は自分の立っている廊下の床が、ズーッと陥込むような感じがしたかと思うと、支配人が駭いて彼女の右の肩口を捕えていた。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
ツル子が無理に引止めて戸若に夕飯の御馳走をしたのがキッカケとなって、二人は退引ならぬところへ陥込んでしまった。
— 夢野久作 『衝突心理』 青空文庫
遥かの下に渦巻いている深淵へ陥込んで行くような、絶望さを感じてきた。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
然し調べた所に依りますと、確に井戸側はあったようで、過失で陥込むような事はなかろうと思われます」「ふん」 署長は忙しく瞬きながら、「それで何だろう、その娘が覚悟の自殺をしたかも知れんと云う事実はないのだろう。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
……ねえ、真名古君、要するにこういう訳だから、これをふつうの事件のような公式的なやり方をされると、政府は非常に困った羽目に陥込むことになるんだ。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
余談になるが、浩さんへ無けなしの十円を出してやると、それがぱっと喧伝されたとみえて、やがて私たちは、金をのこして村へ引っ込んだ……という噂が立ってしまい、大いに面目を……否お蔭でさまざまな窮地に陥込むことになるのだが、それはあとの話である。
— 犬田卯 『沼畔小話集』 青空文庫
何を感じたか、あんなに血を見ることの好きなお秋は行かず、余吾之介一人出かけたのですが、――それは、なまじ足手|纏がなくて反ってよかったとしても、相手の警備の行届いているのに驚いている頃は、巧妙に作られた罠に陥込んで、免れようもなく羽搏いていたのでした。
— 野村胡堂 『十字架観音』 青空文庫