快美
かいび
名詞
標準
文例 · 用例
そしてこの抑揚は、心理的必然の傾向として、常に音樂的拍節の快美な進行と一致する故に、知らず知らず一定の韻律がそこに形成されてくる。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
即ちかかる場合の表現は何の快美なるリズムもない平坦の言葉となつてしまふ。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
なぜならばこの類の者は、既にその心像に快美なリズムがない。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
此処には同律の繰返しが二度しかないから、何等倦怠を感じさせないばかりでなく、却ってその反復から、快美なリズミカルの緊張を感じさせる。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
彼と私との友情が如はるに順つて、始め不快であつた彼の怪異な風采が、次第次第に快美なリズムに變つてきたのは不思議である。
— 萩原朔太郎 『室生犀星の印象』 青空文庫
朝起きては、身の内の各部に疼痛倦怠を覚え、その業に堪え難き思いがするものの、常よりも快美に進む食事を取りつつひとたび草鞋を踏みしめて起つならば、自分の四肢は凛として振動するのである。
— 伊藤左千夫 『水害雑録』 青空文庫
朝起きては、身の内の各部に疼痛倦怠を覺え、其の業に堪へ難き思ひがするものゝ、常よりも快美に進む食事を取りつゝ一度鞋を蹈みしめて起つならば、自分の四肢は凜として振動するのである。
— 伊藤左千夫 『水害雜録』 青空文庫
すなわち自己に対する極度の愛撫、粉飾等は進んで自己の虐待、自己の一部露出、もしくは覗見等の変態趣味に移り、一転して自己の軽視、冷遇、嘲笑、嫌忌もしくは自己恐怖等の心理を感ずるに到り、更に進んで自己虐殺の快適、もしくは自己の屍体幻視の快美感耽溺者となり来るものなり。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫