癈
癈
名詞
標準
文例 · 用例
不治の病に罹りし時の失望は二個なり、すなわち我再び快復する能わざるべし、我は今は癈人なれば世に用なきものとなれりと。
— 内村鑑三 『基督信徒のなぐさめ』 青空文庫
なんの事はない、てもなく癈人じゃないか。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
癈人、と或る見舞客が、うっかり口を滑らしたのを聞いて、流石に、いやな気がした。
— 太宰治 『春の盗賊』 青空文庫
終戦になって、何が何やら、ただへとへとに疲れて、誇張した言い方をするなら、ほとんど這うようにして栃木県の生家にたどりつき、それから三箇月間も、父母の膝下でただぼんやり癈人みたいな生活をして、そのうちに東京の、学生時代からの文学の友だちで、柳田という抜け目の無い、なかなかすばしこい人物が、「金はある。
— 太宰治 『女類』 青空文庫
いまに、ここから出ても、自分はやっぱり狂人、いや、癈人という刻印を額に打たれる事でしょう。
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
「癈人」は、どうやらこれは、喜劇名詞のようです。
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
食慾さえ癈物に結びつけないと君は嗜慾を起して来ない人間なのだね」と言いました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
「そら/\その灰臭いにおいを喜ぶというのがやっぱり癈物趣味さ」 寺で六時の太鼓が鳴り出しました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫