投げ遣り
なげやり
名詞
標準
文例 · 用例
世を投げ遣りのだらりとした姿の上に、義理に着る羽織の紐を丸打に結んで、細い杖に本来空の手持無沙汰を紛らす甲野さんと、近づいてくる小野さんは塀の側でぱたりと逢った。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
しまいにどうなっても構わないという投げ遣りの気分が、単に消極的な彼女をなおの事消極的に練り堅めて行った。
— 夏目漱石 『道草』 青空文庫
思い諦らめた投げ遣りのような気持でフーッと煙を吹くうちに、思わず噎せかえってゴホンゴホンと咳をしたが、それにしてもこの際|呉々も残念なことは、自分の受持区域でありながら、被害者の家に見舞に行けない事であった。
— 夢野久作 『老巡査』 青空文庫
一見飄逸なような、わがままなような、投げ遣りなような構想と筆致の中に、一筆一点でも他人に指させまいとする緊張味が籠っております。
— 夢野久作 『挿絵と闘った話』 青空文庫
又は悩み抜いた揚句が、投げ遣りの自堕落になる。
— 夢野久作 『東京人の堕落時代』 青空文庫
寧ろ投げ遣り的に「秘密」の印を押した書類なぞを見せて、あくびまじりにいろんな呑気な話までした。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
日頃、この作者の筆致が、素つ気ないとか、投げ遣りだとかと云はれますが、それが却つて、一種の不思議さをもつて、この作品を渾然とさせて、息をもつかせません。
— 牧野信一 『浪曼的月評』 青空文庫
そんな馬鹿気たことがあるものか、ランプ位ゐのことで大事な勉強を投げ遣りにするなんてあきれた我まゝ者だ!
— 牧野信一 『ランプの便り』 青空文庫