踏み堪える
ふみこたえる
動詞
標準
文例 · 用例
負け惜しみを言うわけではないが、あれは、僕だからこそ踏み堪える事が出来たのだ。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
それに、自分独りで、グッと踏み堪える力がなくて、毎日のように友人を代りばんこに尋ねて、同じ愚痴を繰り返して、安価のお座なりの同情で、やっと淋しさをまぎらして居るような河野の態度も、雄吉には堪らなくはがゆかった。
— 菊池寛 『神の如く弱し』 青空文庫
矢玉尽きるとも、人間界の取っかかりまでは、どうともして踏み堪えるはずの自分ではなかったろうか。
— 松濤明 『春の遠山入り』 青空文庫
彼女は慾望に心が乱れ、そういう自分を恥じ、また自分の憂愁にしろ悲哀にしろ、彼女が今日明日にも不純な情慾の俘になるのをとどめる力はあるまいと思い、自分はもう酔いどれ女のように踏み堪える力はないのだと思い、不安な気持になるのだった。
— ДУЭЛЬ 『決闘』 青空文庫
お齒ぐろ溝の角より曲りて、いつも行くなる細道をたどれば、運わるう大黒やの前まで來し時、さつと吹く風大黒傘の上を抓みて、宙へ引あげるかと疑ふばかり烈しく吹けば、これは成らぬと力足を踏こたゆる途端、さのみに思はざりし前鼻緒のずる/\と拔けて、傘よりもこれこそ一の大事に成りぬ。
— 樋口一葉 『たけくらべ』 青空文庫
お齒ぐろ溝の角より曲りて、いつも行くなる細道をたどれば、運わるう大黒やの前まで來し時、さつと吹く風大黒傘の上を抓みて、宙へ引あげるかと疑ふばかり烈しく吹けば、これは成らぬと力足を踏こたゆる途端、さのみに思はざりし前鼻緒のずる/\と※けて、傘よりもこれこそ一の大事に成りぬ。
— 樋口一葉 『たけくらべ』 青空文庫
お歯ぐろ溝の角より曲りて、いつも行くなる細道をたどれば、運わるう大黒やの前まで来し時、さつと吹く風大黒傘の上を抓みて、宙へ引あげるかと疑ふばかり烈しく吹けば、これは成らぬと力足を踏こたゆる途端、さのみに思はざりし前鼻緒のずるずると抜けて、傘よりもこれこそ一の大事に成りぬ。
— 樋口一葉 『たけくらべ』 青空文庫
鈍い、黄味がかった盲人の鞏膜のような、しかし、ぼやついたその靄の奥には、いつでも踏みこらえるような不思議な力がこもっていた。
— 小栗虫太郎 『地虫』 青空文庫