榴
りゅう
名詞
標準
文例 · 用例
一刻後、太田ミサコはグリーブスな武者わらいをして、ハンド・バッグに一枚の紙片の重さを感じながら支那ホテルの階段に榴弾の音をたてて下降した。
— 吉行エイスケ 『女百貨店』 青空文庫
」「ヒ、ヒ、ヒ、空ざまに、波の上の女郎花、桔梗の帯を見ますと、や、背負守の扉を透いて、道中、道すがら参詣した、中山の法華経寺か、かねて御守護の雑司ヶ|谷か、真紅な柘榴が輝いて燃えて、鬼子母神の御影が見えたでしゅで、蛸遁げで、岩を吸い、吸い、色を変じて磯へ上った。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
が、子の口と、母の胸は、見る見る紅玉の柘榴がこぼれた。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
実にこそその顔は、爛々たる銀の眼一|双び、眦に紫の隈暗く、頬骨のこけた頤蒼味がかり、浅葱に窩んだ唇裂けて、鉄漿着けた口、柘榴の舌、耳の根には針のごとき鋭き牙を噛んでいたのである。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
」「ああ、柘榴寺――真成寺。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
あの柘榴の花の散った中へ、鬼子母神様の雲だといって、草履を脱いで坐ったのも、つい近頃のようですもの。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
―― お米の横顔さえ、※たけて、「柘榴寺、ね、おじさん、あすこの寺内に、初代元祖、友禅の墓がありましょう。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
」 と、気競って振返ると、髑髏が西日に燃えた、柘榴の皮のようである。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫