心遣り
こころやり
名詞
標準
文例 · 用例
姥 恋人の晃の留守に、人形を抱きまして、心遣りに、子守唄をうたいまする。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
何矢張道は同一で聞いたにも見たのにも変はない、旧道は此方に相違はないから心遣りにも何にもならず、固より歴とした図面といふて、描いてある道は唯栗の毯の上へ赤い筋が引張つてあるばかり。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
三人が三人、巴里に居るわけに行きませんから、せめて息子だけ、巴里って恋人に添わせて置くのを心遣りに、私達は日本って母国へ帰って来ましたの。
— 岡本かの子 『かの女の朝』 青空文庫
いかに思いを籠めようかと千々に心惑った揚句、白紙にたゞ「なつかしさのあまり」と書いて封じ遣ったむかしの人の心遣りのように。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
」 せめても、此だけを心遣りに、女房は、小兒たちに、まだ晩の御飯にもしなかつたので、坂を駈け上るやうにして、急いで行願寺内へ歸ると、路地口に、四つになる女の兒と、五つの男の兒と、廂合の星の影に立つて居た。
— 泉鏡花 『夜釣』 青空文庫
」 せめても、此だけを心遣りに、女房は、小児たちに、まだ晩の御飯にもしなかつたので、阪を駆け上がるやうにして、急いで行願寺内へ帰ると、路次口に、四つになる女の児と、五つの男の児と、廂合の星の影に立つて居た。
— 泉鏡花 『夜釣』 青空文庫
……あるいはそんな事で、世捨人同様に、――俳諧はそのせめてもの心遣りだったのかも知れません。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
何やっぱり道はおんなじで聞いたにも見たのにも変はない、旧道はこちらに相違はないから心遣りにも何にもならず、もとより歴とした図面というて、描いてある道はただ栗の毬の上へ赤い筋が引張ってあるばかり。
— 泉鏡花 『高野聖』 青空文庫