懐中時計
かいちゅうどけい
名詞
標準
pocket watch
文例 · 用例
不思議だと思って懐中時計の音で左右の耳の聴力を試験してみると、左の耳が振動数の多い音波に対して著しく鈍感になっている事が分った。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
(安心したるらしき様子にて二三歩窓の方に行き、懐中時計を見る。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『家常茶飯』 青空文庫
二つの時計――その一つは小形の置き時計で、右側の壁にくっつけた戸棚の上にある、もう一つは懐中時計でベットの頭の手すりにつるしてある――この二つの時計の秒を刻む音と、足もとのほうから聞こえて来る付添看護婦の静かな寝息のほかには何もない。
— 寺田寅彦 『病院の夜明けの物音』 青空文庫
「あなたの懐中時計の六時の所はどんな数字が書いてありますか」と聞いてみると、大概の人はちょっと小首をかしげて考え込んでしまう。
— 寺田寅彦 『錯覚数題』 青空文庫
その片隅の壁の付け根に坐った蒼白い、痩せ細った禿頭が、軒先からためらい流れて来る長い長い昼さがりの片明りの中に、黒い拡大鏡を片眼に当てがいながら、チロチロとよろめく懐中時計のハラワタをいつまでもいつまでも透かし覗いているのが、やがてコッソリ瞳をあげて、明るい往来を望み見る。
— 夢野久作 『塵』 青空文庫
私はこのような考えを正す目的で、時々|最寄りの停留所に立って、懐中時計を手にしては、そこを通過する電車のトランシットを測ってみた。
— 寺田寅彦 『電車の混雑について』 青空文庫
朝晩に見ている懐中時計の六時がどんな字で書いてあるかと人に聞かれるとまごつくくらいであるが、写真の目くらい記憶力のすぐれた目もまた珍しい。
— 寺田寅彦 『カメラをさげて』 青空文庫
けれども何の張合もなかった、客は別に騒ぎもせず、さればって聞棄てにもせず、何の機会もないのに、小形の銀の懐中時計をぱちりと開けて見て、無雑作に突込んで、「お婆さん、勘定だ。
— 泉鏡花 『伊勢之巻』 青空文庫
ウィキペディア
懐中時計 は、衣服のポケットや懐などに入れて持ち歩く、小型の携帯用時計である。
出典: 懐中時計 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0