寝入り
ねいり
名詞
標準
文例 · 用例
奴あ泣寝入りと云いたいんだが、泣寝入り処じゃねえや、泣き死にに死んじゃったじゃねえか。
— 葉山嘉樹 『浚渫船』 青空文庫
けれども、監獄に抛り込んである首謀者共が、深夜そうっと抜け出して来て、ブン殴っておいて、またこっそりと監房へ帰って、狸寝入りをしている、と云う考えは穿ちすぎていた。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
海の表面の波は何やら騒いでいても、その底の海水は、革命どころか、みじろぎもせず、狸寝入りで寝そべっているんですもの。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
内心は、マア坊なんかに、お隣りの越後こそ実に「オルレアンの少女」の作者なのだという事を知らせて、驚ろかしてやりたくて、うずうずしていたのだが、越後から「何も言うな」と口どめされているし、まあ、仕方なく、ゆうべは泣き寝入りの形だったのだ。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
しかるに、お前はいつも泣き寝入りだ。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
そうして、ひとりで、ぶつぶつ言いながら泣き寝入りだ。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
しかし模範的に周到な注意によって築き上げた結果は、時の試練に堪えて、あらゆる懐疑者は泣寝入りとなった。
— 寺田寅彦 『レーリー卿(Lord Rayleigh)』 青空文庫
僕は着ていた猫の舌で一杯の衣服を脱いで、しかつめらしく恋の密輸入物をトランクにしまうと一寝入りするつもりで車窓からボスニヤ平原に咲く砂糖黍の花の香いを嗅いでいるうちに、すっかり追想的になってしまったのだ。
— 吉行エイスケ 『孟買挿話』 青空文庫