目睫
もくしょう
名詞
標準
文例 · 用例
桂子からして疑へば、このQ――芸館を借りることに就いて、既に約定されてゐたものを反対側の連中の策謀と思はれる力で、貸すとか貸さぬとか、開会ももう十日程の目睫に迫つて、故障が持ち上つた。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
前野と敵地大崎領とは目睫の間であるから、或は一揆方の剛の者を手引して氏郷の油断に乗じて殺させ、そして政宗方の者が起って其者共を其場で切殺して口を滅して終おう、という企をしたというのならば、其の企も聊かは有り得もす可きことになる。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
紅なる熔巖の流は、今や目睫に迫り來りぬ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
古墓あり、水道の殘礎あり、而して聖彼得寺の穹窿天に聳えたる羅馬の市は、既に目睫の中に在り。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
二階へ上がると部屋もざっと掃除がすんでおり、均平は縁側のぼろ椅子に腰かけて、目睫の間に迫る雨後の山の翠微を眺めていた。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
が、右舷のはるかに、黒々と防波堤が見え、星のように燦めくタラント軍港の燈火――いまや、戦艦「レオナルド・ダ・ヴィンチ」は目睫の間に迫ったのである。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
もう、死期の目睫の間に迫つてゐることが判つた。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
もう、死期の目睫の間に迫っていることが判った。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫