憊
はい
名詞
標準
文例 · 用例
疲勞し困|憊し幻惑する。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
けれども私の信ずる所によれば、彼の自殺における「漠然たる不安」の一つは、近く來らんとする彼自身の心境的革命にまで、名状しがたき不安の困憊を感じたのである。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
よろめいて歩いて来る兄の、疲労|困憊の姿を見つけて驚いた。
— 太宰治 『走れメロス』 青空文庫
自然の風景に惑溺して居る我の姿を、自覚したるときには、「われ老憊したり。
— ――当りまえのことを当りまえに語る。 『もの思う葦』 青空文庫
不忍の池を拭って吹いて来る風は、なまぬるく、どぶ臭く、池の蓮も、伸び切ったままで腐り、むざんの醜骸をとどめ、ぞろぞろ通る夕涼みの人も間抜け顔して、疲労|困憊の色が深くて、世界の終りを思わせた。
— 太宰治 『座興に非ず』 青空文庫
」 困憊した女記者を尻目にかけて、彼女は一枚の名刺を手渡すと、既に通りかかった車にのると、疲労したからだをクッションに埋めて都会の大桟橋を右に折れた。
— 吉行エイスケ 『女百貨店』 青空文庫
今日も朝から一日|奔走いたので、すっかり憊れてしまって、晩方|一風呂入ったところが、暑くて寝られんから、ぶらぶら納涼に出掛けて、ここで月を観ていたうちに、いい心地になって睡こんでしまった」「おや、そう。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
困憊の彼はこの病床に這い上り、少しく安堵を覚えたのではあるまいか。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫