角々
角々
名詞
標準
文例 · 用例
木蘇の御嶽山が、その角々しき峰に白雪を戴いて、青ぎった空に美しい。
— 伊藤左千夫 『白菊』 青空文庫
手拭を顔に掛けたり、外套をかぶつたりしてゐるそのいぎたない風景の上に、電燈は明々と明つて、幾つもの仕切板の角々のあのラックの光沢に反射してゐる。
— 中原中也 『三等車の中(スケッチ)』 青空文庫
儀礼的の形式主義に力の角々を嘗め丸められてゐる。
— 岡本かの子 『英国メーデーの記』 青空文庫
「中の島」の基点になるポン・ド・グルネルの橋の突き出しに立っている自由の女神の銅像が炎天に※えて姿態の角々から青空に陽炎を立てゝいるように見える。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
眩しがる二|尾のキヤリコの金魚は、多少怪訝の動作を鰭の角々のそよぎに示しながら、急に代つた水の爽快さを楽しむらしかつた。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
床の一隅、幽欝な鉛製の八つ橋の角々に、王朝時代の情熱を想はせる燕子花。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
空気|洋燈が煌々と燿いて書棚の角々や、金文字入りの書や、置時計や、水彩画の金縁や、籐のソハに敷てある白狐の銀毛などに反射して部屋は綺麗で陽気である、銀之助はこれが好である。
— 国木田独歩 『節操』 青空文庫
さてはいよいよ武光という人もありけり、縁起などいうものは多く真とし難きものなれど、偽り飾れる疑ありて信とし難しものの端々にかえって信とすべきものの現るる習いなることは、譬えば鍍金せるものの角々に真の質の見るるが如しなどおもう折しも、按摩取りの老いたるが入り来りたり。
— 幸田露伴 『知々夫紀行』 青空文庫