縫い合わせ
ぬいあわせ
名詞
標準
文例 · 用例
投網の錘をたたきつぶした鉛球を糸くずでたんねんに巻き固めたものを心とし鞣皮――それがなければネルやモンパ――のひょうたん形の片を二枚縫い合わせて手製のボールを造ることが流行した。
— 寺田寅彦 『野球時代』 青空文庫
葉子が黒須に追い縋って、この破綻を縫い合わせに行ったことを想像しながら。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
そのついでに、足下の棚の低い瓶の中に眠っている赤ん坊が、額の中央から鼻の下まで切り割られた痕を、太い麻糸でブツブツに縫い合わせられたまま、奇妙な泣き笑いみたような表情を凝固させているのを見返りながら、ソロソロと入口の扉の前に引返した。
— 夢野久作 『一足お先に』 青空文庫
だが、その歌よりもさきに、原始の祖先たちは、狩猟をし、獣の皮をはぎ、火をおこし、女は針に似た道具でその獣の皮や粗布を縫い合わせた。
— 宮本百合子 『作家の経験』 青空文庫
この一見相反するように見える婦人の生活に対する観方を彼らはもっとも便利に縫い合わせる術を知っている。
— 宮本百合子 『今日の文化の諸問題』 青空文庫
ごく原始的な表現で、例えばより工合よく体にかける毛皮を縫い合わせたいという気持がいつもあって、或るとき或る人間が先の尖った石か貝の片の一方に糸を通す穴をこしらえて針を発明した。
— 宮本百合子 『家庭創造の情熱』 青空文庫
まっ赤な地へ白で大きな模様の出て居る縮緬の布は細い絹針の光る毎に一針一針と縫い合わせられて行くのを、飼い猫のあごの下を無意識にこすりながら仙二は見て居た。
— 宮本百合子 『グースベリーの熟れる頃』 青空文庫
レッドの身体を本庁で縫い合わせたとき、肩の肉が途中で落したものか無かったため、穴ぼこになっているのです。
— 海野十三 『一九五〇年の殺人』 青空文庫