蜿
蜿
名詞
標準
文例 · 用例
前面には阜のような山が二つ、小隆起をしている、赤沢岳頂上の三角点も、大空を指さしている、谷は次第に高くなる、高くなると共に蹙まって来て、雪の蜿ねり方も、波のように烈しいが、嘉門次の語るところに依ると、雪の下は大小の石塊ばかりで、雪解けがしたら、却って歩きづらくて堪まらないということだ。
— 小島烏水 『槍ヶ岳第三回登山』 青空文庫
そうして、水はこれらの石の間を潜り、上を辷って蜿ねる。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
大沢が、濶く、峡間に延びて、峡流の分岐したのが、幾筋となく蜿ねり、枯木が、踏み砕かれた、肋骨のようになって、何本も仆れている。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
露営地の外では、細長い爬行動物――この谷の主――東俣の川――が、蜿ねりながら太古の森林の、腐れ香に噎んで、どこまで這って行くことであろう。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
頭がようやく冴えて来た、足許の岩では、偃松が近くは緑に、遠くは黯くなって、蜿ねっている、天外絶域の、荒れはてた瘠土にまで、漂って来た、緑の垂直的終点を、私は今踏んでいるのだ。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
母と喧嘩をしながら、それでも蜿曲に、家を留守にしないように繰りかえしていた。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
壁にはルノアールの偽もの蜿蜒の画がかかっていた。
— 吉行エイスケ 『飛行機から墜ちるまで』 青空文庫
いつまでかかくてあらむ、こたびこそと思ふに違ひて、道はまた蜿れる坂なり。
— 泉鏡花 『竜潭譚』 青空文庫