秘力
ひりょく
名詞
標準
文例 · 用例
それを、リボーは人間精神最大の神秘力と云って、ことに中世紀では、最も高い人間性の特徴と見なされていたのだ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
魔境の大偉力に対するダネックの科学より、むしろ神秘対神秘力でケルミッシュではないのか。
— 天母峰 『人外魔境』 青空文庫
……のみならず……その脳髄自身は、ソレ自身がトテモ一キロや二キロの物質の一塊とは思えないほどの超科学的な怪能力、神秘力、魔力を上下八方に放射して、そうした科学者たちの脳髄ソノモノに対する科学的の推理研究を、片端からメチャメチャに引掻きまわしている。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
もしかするとこの絵巻物の神秘力を一挙に打ち破って、一切の迷いを真実に還す程の力を持った者であるかも知れない。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
そのあいだに今申しました……不可思議な「死後の恋」の神秘力は、私を魂のドン底まで苦しめてこんな老人にまで衰弱させてしまいました……。
— 夢野久作 『死後の恋』 青空文庫
自然主義小説家は、如何なるものにも観察と実験とを用ふるが、理想主義小説家は分析することのできない神秘力をみとめ、未知の中に、法則の外に安住しようとする。
— 平林初之輔 『エミイル・ゾラの文学方法論』 青空文庫
普通には欲求の外に超然たる自己があって自由に動機を決定するようにいうのであるが、斯の如き神秘力のないのはいうまでもなく、若しかかる超然的自己の決定が存するならば、それは偶然の決定であって、自由の決定とは思われぬのである。
— 西田幾多郎 『善の研究』 青空文庫
右の範囲内において動機を選択決定するのは全く我々の自由に属し、我々の他に理由はない、この決定は外界の事情または内界の気質、習慣、性格より独立せる意志という一の神秘力に由るものと考えている。
— 西田幾多郎 『善の研究』 青空文庫