苫舟
とまぶね
名詞
標準
文例 · 用例
そのかげの小さき苫舟、いよいよに霜の凍りて、こまごまと霜の凍りて、舟縁も苫も真白く櫓も梶も絶えて真白し。
— 北原白秋 『雀の卵』 青空文庫
つくづくと眺めてあれば、閑かなる入江のさまや、苫舟にのぼる煙も風|無ければ直ぐに一すぢほそぼそとしばしのぼれり。
— 北原白秋 『雀の卵』 青空文庫
そのかげの小さき苫舟、いよいよに霜の凍りて、こまごまと霜の凍りて、舟縁も苫も真白く、櫓も梶も絶えて真白し。
— 北原白秋 『観相の秋』 青空文庫
つくづくと眺めてあれば、閑かなる入江のさまや、苫舟にのぼる煙も、風|無けば直ぐに一すぢ、ほそぼそとしばしのぼれり。
— 北原白秋 『観相の秋』 青空文庫
殊に三艘の舟の中で、前にある一番大きな舟を苫舟にして二十人ばかりも人の押合ふて乗つて居る乗合船を少し沖の方へかいたのが凡趣向でない。
— 正岡子規 『病牀六尺』 青空文庫
○○○○○雪積む上の夜の雨 凡兆 といふ下十二字を得て後、上の句をさまざまに置きかへんには「町中や」「凍てつくや」「薄月や」「淋しさや」「音淋し」「藁屋根や」「静かさや」「苫舟や」「帰るさや」「枯蘆や」など如何やうにもあるべきを、芭蕉は終に「下京や」の五文字動かすべからずといひしとぞ。
— 正岡子規 『俳諧大要』 青空文庫
あれは苫舟で艫の音を聞きながら遠くに墨絵のやうな松の岸辺を見る景色でなくてはならぬ。
— 永井荷風 『黄昏の地中海』 青空文庫
ここだよ、ここだよ――」 無数の苫舟が繋っている岸辺から、やや大川筋へ下がった所に、また一艘の小舟が、苫をかけて、泊まっていた。
— 吉川英治 『大岡越前』 青空文庫