愬
愬
名詞
標準
文例 · 用例
そこで遡江部隊の遡という字からシンニユウを除いた朔だとか、国民に愬ふといふ愬から心を除いた上の字だとか言つてみるが、これもまた一向に利き目がない。
— 萩原朔太郎 『名前の話』 青空文庫
娘はなお、自分の患って居ることを報告して切々情を愬えている。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
そこで伊沢兄弟と抽斎とは先ず※庭の同情に愬えて幕府の用を勤めさせ、それを規模にして阿部家を説き動そうと決心した。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
中丸は当時その師抽斎に説くに、頗る多言を費し、矢島氏の祀を絶つに忍びぬというを以て、抽斎の情誼に愬えた。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
私はかう思つて同郷の先輩に謀り、当路の大官に愬へた。
— 森鴎外 『津下四郎左衛門』 青空文庫
わたくしは本意なく思つて、或時父に愬へました。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
基督の山の説教なんぞを高尚なように云うが、あれも利害に愬えているのですからねぇ。
— 森鴎外 『蛇』 青空文庫
もとより病苦と闘つて敢て之に克たむとするにもあらず、幽暗を恃みて亦之を世に愬へむとにもあらず、ただ煙霞余情の裡、平生の和敬ひとへに我と我が好める道に終始したるのみ。
— 北原白秋 『黒檜』 青空文庫