真桑
まくわ
名詞
標準
文例 · 用例
映る手なんざ、水へ突込んでるように、畝ったこの筋までが蒼白く透通って、各自の顔は、皆その熟した真桑瓜に目鼻がついたように黄色くなったのを、見合せて、呼吸を詰める、とふわふわと浮いて出て、その晩の座がしらという、一番強がった男の膝へ、ふッと乗ったことがあるんですね。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
掌に載せた真桑瓜のその色を見、その重さを感ずるようにわが五感の感覚や意識で明白に解脱の正体を見きわめなければ安心出来なかった。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
疲れに疲れし一行は、途中掛茶屋さえあれば腰を下して、氷水を飲む、真桑瓜を食う、饅頭をパク付く。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
心太、真桑、何を召あがります。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
あの低い松の枝の地紙形に翳蔽える葉の裏に、葦簀を掛けて、掘抜に繞らした中を、美しい清水は、松影に揺れ動いて、日盛にも白銀の月影をこぼして溢るるのを、広い水槽でうけて、その中に、真桑瓜、西瓜、桃、李の実を冷して売る。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
二 畠一帯、真桑瓜が名産で、この水あるがためか、巨石の瓜は銀色だと言う……瓜畠がずッと続いて、やがて蓮池になる……それからは皆|青田で。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
「真桑、李を噛るなら、あとで塩湯を飲みなよ。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
……(――これは縁起に話しましたが――) 私なんぞ、まったく、この身体を溝石にして、這面へ、一鑿、目鼻も口も、削りかけの地蔵にして、その六地蔵の下座の端へ、もう一個、真桑瓜を横噛りにした処を、曝しものにされて可いのです。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫