応通
おうとおり
名詞
標準
文例 · 用例
永瀬の今まで手がけたのは、大抵養女か、分けのれっきとした芸者で、丸同然の七三などは銀子が初めなので、格別の面白味もない代りに座敷ぶりも神妙で、外国の話をして聞かせても、一応通じるような感じがあり、何か心を惹かれた。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
お直が怪しい手紙を隠し持っていたということを、甲州屋の親たちに一応通知するかも知れない。
— 半七先生 『半七捕物帳』 青空文庫
夜のお化粧とか朝のお化粧とかそう云う化粧読本の箇条としての一般論みたいなものは行き渡っているようだけれども、もっと自分に即して、自分の気持をとらえているという風のおしゃれは、まれに思えます、それは一応通ななり、凝ったなり、或はシークななりというのとは自ら違ってね。
— 宮本百合子 『女性の生活態度』 青空文庫
この土地にいる重だった家臣にも一応通じておかなければならない。
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫
プラトンの主観的弁証法が積極的であるならばアリストテレスの夫は消極的と呼ばれて好い(積極的と消極的とのこの区別は後に夫々、ヘーゲルとカントとの弁証法に就いても一応通用するであろう)。
— 戸坂潤 『辞典』 青空文庫
だが、できるだけは無言にして通り去ろうとすると、通り去るには、やはりその人混みの墓地の間を、一応通過しなければならない道筋になっている。
— 農奴の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
その条件とは、第一に、西洋近代劇運動の消息に一応通じたこと、第二に、文学界の新機運と結び、高名な作家たちをその背景にもち得たことである。
— 岸田國士 『先駆者小山内薫』 青空文庫
そこで彼は山キの内情とか、木場全体における山キの位置や立場などにも一応通じていた。
— その十五 赤罠 『明治開化 安吾捕物』 青空文庫