食べ残り
たべのこり
名詞
標準
文例 · 用例
この時本物のトルストイが顔でも出したら、書肆は食べ残りの丸薬をいきなり毛むくじやらの口へ押し込んだかも知れない。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
その晩食べ残りの豆腐が少しあつた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
その頃は食事の時に主人も客も食べ残りの骨を卓子の下に打拾らかしておく習慣があつたので、悪戯好きのカアネ親子は、目ざとい詩人に気づかれぬやうに、自分達の皿の骨は言ふまでもなく、他のお客のをまで、そつくりその儘そつとダンテの足もとに捨てておいた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
そこには食べ残りの骨が山のやうに積まれてあつた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
その橘の中にゐた老人は、食事が済むと、食べ残りの龍根を龍に蘇生らせ、それに騎つてどことも知れず飛び去つたといふことだが、それだけは余計なことで、私だつたらさうはしない。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
一本の樹木もない峡間に拡がった牧場の見える路へ出て、そこで食べ残りのサンドウィッチを食べ始めた。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
四条の橋の下にゐて、朝夕浪華亭の裏口へ、客の食べ残りなどを貰ひに来い来いしてゐたのを、伯父がその親達に幾らかの金を与へ、二度とその辺へ顔を見せぬといふ約束で拾ひ上げたのだといふ話だつた。
— 加能作次郎 『乳の匂ひ』 青空文庫
家のすぐ前の河原に、橋の下に両親と共に寝起して、朝夕二度宛、客の食べ残りなどを貰ひに裏口へやつて来て居たのを、伯父が憐んで貰うつてやつたのださうだ。
— 加能作次郎 『世の中へ』 青空文庫