怪猫
かいびょう
名詞
標準
monster cat
文例 · 用例
そ、それが五分と間がない、目も鼻も口も一所に、僕の顏とぴつたりと附着きました、――あなたのお住居の時分から怪猫が居たんでせうか……一體猫が大嫌ひで、いえ可恐いので。
— 泉鏡太郎 『春着』 青空文庫
が、怪猫は大袈裟だ。
— 泉鏡太郎 『春着』 青空文庫
「起きろ起きろッ、戸をあけろッ」 徒弟らしい若者が、なにげなく繰りあけたその足もとで、いまだになおつけ慕っていた怪猫が、不意にニャゴウと鳴きたてましたものでしたから、若者のぎょッとなったのはいうまでもないことでしたが、しかしさすがは生き馬の目を抜くお江戸のまんなかで育った職人でした。
— 京人形大尽 『右門捕物帖』 青空文庫
怪猫のあとをつけていったのもむろんのことでしたが、しかし、伝六というしろものは、およそ罪のないあいきょう者でした。
— 京人形大尽 『右門捕物帖』 青空文庫
おまえもここにいたか」 その声に答えるもののごとく、怪猫がニャゴウと鳴きたてましたものでしたから、名人の口辺に静かに微笑がのると、物柔らかな問いが発せられました。
— 京人形大尽 『右門捕物帖』 青空文庫
竹丸はよくお駒から怪猫の話を聽かされてゐたので、自分の母は疾くに何處かの古猫に喰ひ殺されて、猫が母の姿になつてゐるのではあるまいかと思つてゐた。
— 上司小劍 『天滿宮』 青空文庫
それから竹丸は其の修驗者の姿を一度も見なかつたが、近頃お駒に教はつた怪猫の話から、若しやあの修驗者が古猫で、母を喰ひ殺して母の姿になつてゐるのではあるまいかと、時折り考へることもあつた。
— 上司小劍 『天滿宮』 青空文庫
犬飼現八の怪猫退治――八犬伝での大修羅場は、瞬間にして出来上ったが、爾来滞ることもなく厖大極まる物語りは、二十年間書きつづけられたのである。
— 国枝史郎 『戯作者』 青空文庫