瘍
瘍
名詞
標準
文例 · 用例
)脈を取ったり血を検査したりしたが、別に何も云わないから、自分で胃潰瘍だという事を話して吐血前の容体を云おうとしたが声を出す力がなくて、その上に口が粘ってハッキリ云う事が出来なかった。
— 寺田寅彦 『病中記』 青空文庫
そこを胃潰瘍で斃れた。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
よく見ると、木の幹には、いくつとなく、小指の頭ぐらいの穴があいて、その穴の周囲の樹皮がまくれ上がりふくれ上がって、ちょうど、人間の手足にできた瘍のような恰好になっている。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
この幼時に見た珍しい見世物の記憶が、それから三十余年後に自分が胃潰瘍にかかって床についていたときに、ふいと忘却の闇から浮かび上がって来た。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
あの哀れな山男は、おそらくあれから一、二年とはたたない間に消化器の潰瘍にかかってみじめな最期を遂げたに違いない。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
ところが、その後間もなく自分は胃潰瘍にかかって職を休んで引籠ってしまったので、教室の自分の部屋は全くそのままに塵埃のつもるに任せて永い間放置されていた。
— 寺田寅彦 『埋もれた漱石伝記資料』 青空文庫
一つはそのころひどく胃が悪くて絶えず痛んでいたという事が日記の中にも至るところに見いだされ、またいつであったか一度は潰瘍の出血らしいものがあったという話を聞いているから、この病気のためもあったに相違ない。
— 寺田寅彦 『亮の追憶』 青空文庫
いつか自分の手指の爪の発育が目立って悪くなり不整になって、たとえば左の無名指の爪が矢筈形に延びたりするので、どうもおかしいと思っていたら、そのころから胃潰瘍にかかって絶えず軽微な内出血があるのを少しも知らずにいたのであった。
— 寺田寅彦 『破片』 青空文庫