惑わし
まどわし
名詞
標準
文例 · 用例
草叢の緑とまぎれやすいその青は不思議な惑わしを持っている。
— 梶井基次郎 『筧の話』 青空文庫
それでいて彼はやっぱり彼女の黒い目や、惑わしい曲線の美しさをもった頬や、日本画風の繊細な感じに富んだ手や脚に惑溺していた。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
お銀は惑わしいことがあると、よく御籤を取りに行く近間の稲荷へ出かけて行った。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
「おっつあん殺すのか」 斯ういう不謹慎ないいようは余計に太十を惑わした。
— 長塚節 『太十と其犬』 青空文庫
ねえ田郷さん、貴方は史家ホルクロフトや、古書蒐集家ジョン・ピンカートンなどの著述をお読みになったでしょうが、かつて魔法博士デイやグラハムが、愚民を惑わした黒鏡魔法も、底を割れば、たったこれだけの本体にすぎないのです。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
「しかし、最も疑われてよい顔が、僕等を惑わしていた多くの疑問の中に散在しているんだ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
彼は邪道をもって諸人を惑わしていたが、深山の柏の樹の下に銅の仏像を埋め、その後数年、そこに草が生えたのを見すまして、土地の人びとを欺いた。
— 白猿伝・其他 『中国怪奇小説集』 青空文庫
薬剤をもって子女を惑わしたという罪に問おうとすれば、娘も最初から共謀である。
— 閲微草堂筆記(清) 『中国怪奇小説集』 青空文庫