綰物
わげもの
名詞
標準
文例 · 用例
誰の嗅煙草入にしろ、村長に対しては御意のままに開放されて、どんな頑丈な百姓でも自分の綰物の嗅煙草入へ、村長が太い無骨な指を突つこんでゐるあひだは、帽子をとつたまま恭々しくさし控へてゐなければならないといふ始末。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 前篇』 青空文庫
筧の水というものはこの崖から絞れて落つる玉のような清水を集めて、小さい素焼きの瓶に受けたので綰物の柄杓が浮べてある。
— 白柳秀湖 『駅夫日記』 青空文庫
精悍な面魂に欠けた前歯――これがふと曲物のようなのだ。
— 織田作之助 『四月馬鹿』 青空文庫
本業は人を使つて山深く入つて曲物(日光名物であるに拘らず、今はこれを鬻いでゐることの少いのは遺憾だ)の材料たる木をとるのであつたが、その事を思ひ立つてから、獨力で測量し、獨力で開鑿しはじめた。
— 幸田露伴 『華嚴瀧』 青空文庫
文三は恐ろしい顔色をしてお勢の柳眉を顰めた嬌面を疾視付けたが、恋は曲物、こう疾視付けた時でも尚お「美は美だ」と思わない訳にはいかなかッた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
村落の者が飮んでる後から木陰に佇んで居た乞食がぞろ/\と來て曲物の小鉢を出して要求した。
— 長塚節 『土』 青空文庫
膳、椀、弁当箱、杯、曲物など皆この辺の細工なり。
— 岡本綺堂 『鼠』 青空文庫
おれにもはっきりとした判断は付かなかったが、三島屋でそんな掻っ攫いをやるようじゃあ、女はなかなかの曲物で、何もかも承知の上でやった仕事に相違ねえ。
— 妖狐伝 『半七捕物帳』 青空文庫