角上
かくじょう
名詞
標準
文例 · 用例
富岡先生が折角上京されたと思うと突然帰国された、それに就て自分は大に胸を痛めている、先生は相変らず偏執ておられる。
— 国木田独歩 『富岡先生』 青空文庫
それらの論は姑らく之を他日に讓りて擱き、兎に角上述したる如き惜福の工夫を積んでゐる人が、不思議にまた福に遇ふものであり、惜福の工夫に缺けて居る人は不思議に福に遇はぬものであることは、面白い世間の實際の現象である。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
他に争う兄弟も無いのに、切に小言を言いながら、ガツガツと喫べ出したが、飯は未だ食慣れぬかして、兎角上顎に引附く。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
……いわばまあ、上っ面の浮かれに過ぎないのだけれど、兎に角上っ面で熱心になっていた。
— 二葉亭四迷 『予が半生の懺悔』 青空文庫
十四の六 角上を下りた時、日は暮れ掛かつた。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
蝸牛角上の傲児 世は挙げて彼等を欽慕す。
— 北村透谷 『想断々(1)』 青空文庫
歴山王、拿翁、シイザル、之を英雄と称し豪傑と呼ぶ、英雄は即ち英雄、豪傑は即ち豪傑、然れども胸中の理想に立入りて之を分析すれば、片々たる蝸牛角上の傲児のみ。
— 北村透谷 『想断々(1)』 青空文庫
折角上京したお種も、お仙を連れての町あるきは可恐しく思われて来た。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫