棄老
きろう
名詞
標準
historical or legendary practice of abandoning old people in the mountains, etc.
文例 · 用例
むかしむかし棄老国と号ばれたる国ありて、其国に住めるものは、自己が父母の老い衰へて物の役にも立たずなれば、老人は国の費えなりとて遠き山の奥野の末なんどに駆り棄つるを恒例とし、また一国の常法となしゐけるが、ここに一人の孝心深き大臣ありけり。
— 幸田露伴 『印度の古話』 青空文庫
また我輩が拙著「隠居論」の始めに隠居の起原を論じて、「隠居俗は食老俗、殺老俗、棄老俗とその社会的系統を同じうし、これらの蛮俗が進化変遷して竟に老人退隠の習俗を生ぜり」と述べたが、この説もその根本思想をドイツのヤコブ・グリムの説に得たものだという人がある。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫
それは泊瀬即ち上古の葬所のあつたところであり、それが轉訛して「をばすて」となり、それへ古代の信濃でも行はれたらしい棄老の傳説が結びつきながら、丁度、その讀人しらずの古歌の詠ぜられた平安朝のはじめ頃を界として、現在の冠着山に移動したのであらうと考證せられてゐる。
— 堀辰雄 『姨捨記』 青空文庫
尚其外にも、棄老民譚の王朝の一形式とも言ふべき、蟻通し明神(枕冊子)風の「老いの智慧」の要素をも持つてゐる。
— 折口信夫 『鸚鵡小町』 青空文庫
殉死の発生と殺老及び棄老 殉死のさかんに行われた時代にあっては、それは必ずしも変態の葬礼とは言えぬけれども、それかと言うて常態とも想われぬので略述する。
— 中山太郎 『本朝変態葬礼史』 青空文庫
そしてこの老人を殺すことが、食人の嗜好から出たものか、それとも食料の欠乏に由ることかは異説があるも、我国においても殺老から棄老となり、さらに隠居と云う制度を生むようになったことは、しばしば疑いのない事実と見て差支えないようである。
— 中山太郎 『本朝変態葬礼史』 青空文庫
人によってはまた棄老国ともいうが、この名称は外国からきている。
— 柳田国男 『母の手毬歌』 青空文庫
どうして親を棄てることになったか、もとは明らかになっていなかったらしいのを、このごろでは外国風の棄老国にならって、そういう法令が出ていたようにいう話もまれでないが、それではこの話の感動は少しうすくなるのである。
— 柳田国男 『母の手毬歌』 青空文庫
ウィキペディア
棄老(きろう)、セニサイド(英:Senicide)、またはジェロントサイド(英:geronticide)とは、高齢者を殺害すること、または高齢者を見捨てて死に至らしめることである。
出典: 棄老 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0