様奥
さまおく
名詞
標準
文例 · 用例
今少しく精細に云って見るならば、役人の家庭、職人の家庭、芸人の家庭、学者の家庭、新聞記者、政治家、農家、商家、其の外に貧富の差がある、智識の差がある、夫婦諸稼の家庭もある、旦那様奥様の家庭もある、女の多い家、男の多い家、斯く数えて来たらば際限がない。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
「して、それは殿様奥様のお頼みでござりまするか。
— お文の魂 『半七捕物帳』 青空文庫
早い話が、あの店の上さんだって、若しあの二人に対して物を言うことになったら、旦那様奥様と云っただろう。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫
奥様奥様おひなれや。
— 倉田百三 『出家とその弟子』 青空文庫
「奥様の面白いことをおっしゃいますこと、ほほほほ」 二言目には奥様奥様と呼ばれるたびに、伸子は、体のどこかを、鄭重に指の先で引っ張られるような、工合のわるい気がするのであった。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫
ここで、この家の女房のことを、「奥様奥様」と言っているのは、例によっていけません。
— 三田村鳶魚 『中里介山の『大菩薩峠』』 青空文庫
もう、すっかり眼が窪み、頬が落ち、眼のふちには黒い隈さえ縁取られて傷ましい「死」の影に蝕まれた圓朝は、名声と地位とを克ち得てからなんの苦労もなく、一緒になった四十がらみの大柄のいかにも奥様奥様した妻女お幸に傍らから団扇の風を送られながら、しきりと蒲団の面へ荒い呼吸の波を見せていた。
— 正岡容 『圓朝花火』 青空文庫
「第一に、殿様奥方はおありでしょうな」「お喜佐様と言われる、三十七歳、お歳上だが、貞淑の誉高い方じゃ」「お里方は?
— 大村兵庫の眼玉 『銭形平次捕物控』 青空文庫