獣物
けだもの
名詞
標準
文例 · 用例
まず人を啖い殺すやつは獣物だな」「そうでしょうか」「人を啖うばかりじゃあねえ。
— 鬼娘 『半七捕物帳』 青空文庫
勿論、あすこらのことだから何がくぐるめえものでもねえが、なにしろそれは獣物の毛に相違ねえ」「そうですね」と、庄太は丁寧に紙をひろげて、その上にうず巻いているような五、六本の黒い毛を透かすように眺めていた。
— 鬼娘 『半七捕物帳』 青空文庫
それからだんだん調べて行った挙げ句に、なんでも人間が犬を使ってやる仕事だろうと睨んだので、庄太にそれを相談すると、吉原の堤下にお紺という獣物使いで、質のよくない女が住んでいるという。
— 鬼娘 『半七捕物帳』 青空文庫
「この男が彼の女の馬車を御して来たのですが、あの獣物連中は、この若者を引きずり降ろして、棍棒でやっつけたのだな。
— コナン・ドイル 『自転車嬢の危難』 青空文庫
物珍しいものを見るという様子をしてはいたけれども、心の中には自分の敵がどんな獣物であるかを見きわめてやるぞという激しい敵愾心が急に燃えあがっていた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
可愛い獣物ぞい汝は。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
獣物が自分の仔をめんこがるやうなもんだ。
— 有島武郎 『骨』 青空文庫
そして、その獣物のような狂乱が、とうとう私に……」 とフローラは、長々と尾を引いて、低く低く声を落としたが、続けた。
— 小栗虫太郎 『紅毛傾城』 青空文庫