這い歩き
はいあるき
名詞
標準
文例 · 用例
石段を登り切ったところで、哀れな乞食は、陸の上へあがった泥亀のように、臆病らしく四下を見廻していたが、するうちまた這い歩きはじめた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
天皇がまっすぐに向っているのに、同じ人間の議員は体を横にして横這い歩きをして出たり入ったりする。
— ――一九四八年十二月二十五日、新日本文学会主催「文芸講演会」における講演―― 『平和運動と文学者』 青空文庫
側では這い歩きのできる子供が、拗ねた顔で母親を視凝めていた。
— 原民喜 『永遠のみどり』 青空文庫
そして病人が苦しむ時にはきっと四つん這いに這い歩き狐のような鳴き方をした。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
「なんだってすばしっこくって、ちっとも眼がはなせねえ、寝たかと思ってちょっと立ったら、いつのまにかもう土間へおりて下駄をしゃぶってるだ、ほんとにこの子には胆煎っちまうよ」 這い歩きを始めるじぶんにはたいていの子が眼のはなせないものだ。
— 山本周五郎 『桑の木物語』 青空文庫