棲居
せいきょ
名詞
標準
文例 · 用例
東京ドンドロ節銀座裏なら 貉の棲居 化けて化かされ 化け放題手れん 手くだも小出しになされ 種がつきたら 左様なら ドンドロ、あんどん、昼の夢。
— 詩集(1)初期詩篇 『小熊秀雄全集-2』 青空文庫
吾人は東洋の一端に棲居するが故に欧洲の大勢を顧眄するの要なしと信ずる一種の攘夷論者の愚を、笑はんとす、世界は日に狭まり行きて、今日の英国は往日の英国の距離にあらざる事を思ふべし、況んや理想境には遠近なきものを。
— 北村透谷 『一種の攘夷思想』 青空文庫
土塀に近く咲いた紫と、林檎の根のところに蹲踞ったような白とが、互に映り合て、何となくこの屋根の下を幽静な棲居らしく見せた。
— 島崎藤村 『家(上巻)』 青空文庫
暫時彼女は家の門口に立って、垣根のところから南瓜の生り下ったような侘しい棲居のさまを眺めた。
— 島崎藤村 『家(上巻)』 青空文庫
こういう侘しい棲居で、東京からの友人を迎えるというは、数えるほどしか無いことで有った。
— 島崎藤村 『家(上巻)』 青空文庫
だから、現在の建築技術は穴の棲居を不可能ならしめ、現在の繊維工業の発達は、毛皮の着物を、常人の手のとどかないところまで駆逐してしまったのである。
— 平林初之輔 『文芸は進化するか、その他』 青空文庫
邦夷らの棲居がここに、――ここだけに限られようとは夢に見たことも無かった。
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫
この下宿屋の階下の薄暗い部屋は、ここの主人とその母親だけの棲居になつてゐるのだが、品のいい老女とその若い息子は、まだ昔ながらの静かな澱みのなかに生き残つてゐるやうだ。
— 原民喜 『災厄の日』 青空文庫