ただ一度
ただいちど
表現名詞副詞
標準
only once
文例 · 用例
しかしただ一度ある小春日のわが家の門前で起った些細な出来事だけがはっきり印象に残っている。
— 寺田寅彦 『重兵衛さんの一家』 青空文庫
島木さんの事について何か書くようにとの御手紙を頂きましたので、考えてはみましたが、私は同氏から稀に御手紙は頂戴しておりましたものの、御目にかかったのは前後にただ一度だけ、それも宴会の席上でちょっと御挨拶をしたばかりでありまして、同氏の追憶と云っては別段に申上げるほどの資格も御座いません。
— 寺田寅彦 『書簡(※)』 青空文庫
何しろ、もう三十余年前にただ一度実見したきりなので記憶がはなはだたしかでないが、網を張った叉手の二等辺三角形の両辺の長さが少なくも九尺くらいあり、柄竿の長さもほぼそのくらいあるかと思われ、とにかくずいぶん大きなものであるので、それを自由に操作するには相当の腕力を要するものであったように思う。
— 寺田寅彦 『鴫突き』 青空文庫
私が前後にただ一度盆踊りを見たのは今から二十年ほど前に南海のある漁村での事であった。
— 寺田寅彦 『田園雑感』 青空文庫
十何年という間我子の様に思ってきたこともただ一度の小言で忘れられてしまったかと思うと私は口惜しい。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
それほど近所に居ながらこれも這入ったのはただ一度だけであったし、見たものの記憶の薄れたことも同前である。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
その阿片を、私は上海でただ一度生れて初めて吸飮してみた。
— 南部修太郎 『阿片の味』 青空文庫
帰朝後ただ一度|浅草で剣劇映画を見た。
— 寺田寅彦 『映画時代』 青空文庫